「また一人、社員が退職してしまった…」
こんな悩みを抱えている経営者の方、少なくないのではないでしょうか。中小企業にとって、人材の確保と定着は永遠の課題。特に近年は、離職率の高さに頭を悩ませている経営者が多いようです。
しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。本当の問題は「離職率の高さ」そのものではなく、「社員が長く働きたいと思える会社づくり」ができていないことかもしれません。
今回は、社員が長く働きたくなる会社づくりについて、実例を交えながら考えていきます。離職率に悩む経営者の皆さん、一緒に「社員がやめない会社」の秘密を探っていきましょう。
未来が見えない会社からの脱却
多くの会社が陥りがちな罠、それは「未来が見えない」状態です。日々の業務に追われ、目の前の数字ばかりを追いかけていると、気づかないうちに社員たちの心が離れていってしまいます。ここでは、そんな状況から抜け出すためのヒントを探ってみましょう。
数字だけを追い求める経営の落とし穴
「今月の売上目標は達成できたか?」「経費削減はどこまで進んでいる?」こんな会話が飛び交う会社、ありませんか? 確かに、数字は会社の健康状態を示す重要な指標です。しかし、数字だけを追い求めていると、大切なものを見失ってしまうかもしれません。
社員たちは、毎日の仕事に追われながら、こんな疑問を抱えているかもしれません。
「売上目標を達成しても、すぐ次の目標に追われて…、何のための働いているのだろうか」
「この会社で働き続けて、自分のキャリアはどうなっていくのだろう?」
数字だけを追い求める経営では、こうした社員の不安に応えることができません。結果として、優秀な人材が次々と離職してしまう…、そんな悪循環に陥ってしまうのです。
会社の未来像を共有する重要性
それでは、どうすれば良いのでしょうか? その答えは、「会社の未来像を社員と共有すること」にあります。
例えば、こんな風に語りかけてみてはどうでしょうか。
「5年後、私たちの会社はこんな姿になっています。地域に欠かせない存在として認められ、社員一人一人が誇りを持って働ける会社。そのために、今こんな取り組みをしています。」
具体的な未来像を示すことで、社員たちは自分の将来と会社の未来を重ね合わせることができるようになります。そして、その未来に向かって一緒に歩んでいこうという気持ちが芽生えるのです。
社員の夢を応援する会社へ
会社の未来像を示すことは大切ですが、それだけでは不十分です。真に「社員がやめない会社」になるためには、社員一人一人の夢や目標にも目を向ける必要があります。ここでは、社員の夢を応援することの重要性と、その具体的な方法について考えてみましょう。
社員の成長が会社の成長につながる
社員の夢を知り、それを応援することで、驚くべき変化が起こります。
例えば、ある社員が「将来は起業したい」と打ち明けたとします。普通なら、「うちの会社から出て行くつもりか」と警戒してしまうかもしれません。けれど、その夢を応援することで、どんな変化が起こるでしょうか?
その社員は、起業に向けて必要なスキルを磨こうと、今の仕事により真剣に取り組むようになるかもしれません。そして、その姿勢が周りの社員にも良い影響を与え、会社全体の雰囲気が活性化するかもしれないのです。
つまり、社員の夢を応援することは、会社の成長にもつながるのです。
実例:離職率を劇的に改善した工務店の取り組み
建設業界において、人材定着は最も難しい経営課題の一つとされていますが、地域に根ざした中小工務店の中には、独自の人材育成戦略で離職率を劇的に改善した企業が存在します。
ある社長の決断
ここで、ある工務店の実例をご紹介しましょう。この工務店は、慢性的な人手不足に悩まされていました。優秀な職人が次々と退職し、新しい人材の確保も難しい状況が続いていたのです。
そんな中、社長は大きな決断をします。それは、社員一人一人との個人懇談を始めることでした。しかも、その懇談の目的は「社員の幸せを追求すること」。仕事の話ではなく、社員の想いや願いを徹底的に聞き、それを応援することに焦点を当てたのです。
社長の変化による社員の変化
最初の頃は、社員たちも戸惑いを隠せませんでした。「社長、急にどうしたのですか?」と、訝しむ声も聞こえてきたそうです。しかし、1度で終わらず、回を重ねるごとに、社員たちの態度に変化が現れ始めました。
自分たちの幸せを真剣に考えてくれる社長の姿勢に、社員たちは心を開いていったのです。そして、驚くべきことに、離職率が急激に下がり始めました。
予想外の効果
さらに、それだけではありませんでした。社員たちの間に、新しい変化が生まれ始めたのです。
それは、社員たちがお客様の幸せを考えるようになったことです。自分たちが幸せを追求する中で、「お客様も同じように幸せになってほしい」という気持ちが芽生えたのです。
結果として、顧客満足度が上がり、すべて紹介での受注で仕事が埋まるまでに。会社の業績も右肩上がりになっていったのです。
「社員がやめない会社」を作るための具体的なステップ
ここまで、「社員がやめない会社」の重要性と、そのための方策について見てきました。では、具体的にどんなステップを踏めば良いのでしょうか? 以下に、実践的なアドバイスをまとめてみました。
1. 会社の未来像を明確にする
まずは、経営者自身が会社の未来像を明確にすることから始めましょう。5年後、10年後、どんな会社になっていたいですか? その姿を具体的に描いてみてください。
2. 未来像を社員と共有する
描いた未来像を、社員と共有しましょう。ただし、一方的に伝えるのではなく、社員の意見も聞きながら、共に未来像を磨き上げていくことが大切です。
3. 社員の想いを知る時間をつくる
社員との個人面談は非常に重要ですが、会社の規模によっては社長一人で全員と面談するのは難しいかもしれません。しかし、社長ができる範囲の社員数であれば、年に1回でも行うことをおすすめします。
ただし、注意点があります。面談をすることそのものが目的にならないようにしましょう。形式的な面談では意味がありません。社員の本音を引き出し、真摯に耳を傾けることが大切です。
4. 社員の夢を応援する具体的な行動を起こす
面談で聞いた社員の夢や目標を、具体的にどう応援できるか考えましょう。例えば、必要なスキルを身につけるための研修を提供したり、新しいプロジェクトに参加させたりするなど、具体的な行動を起こすことが大切です。
5. 成果を共有し、称賛する
社員の成長や、会社の変化について、定期的に全社員で共有する機会を設けましょう。そして、頑張っている社員を皆の前で称賛することも忘れずに。
6. PDCAサイクルを回す
これらの取り組みを続けながら、定期的に効果を検証し、必要に応じて改善を加えていきましょう。完璧を求めるのではなく、少しずつでも前進し続けることが大切です。
社員と共に成長する会社づくりへ
ここまで、「社員がやめない会社」づくりについて、様々な角度から見てきました。数字だけを追い求めるのではなく、会社の未来像を示し、社員一人一人の夢を応援する。そんな会社づくりが、今求められているのです。
確かに、これらの取り組みには時間と労力がかかります。すぐに結果が出るわけでもありません。しかし、長い目で見れば、必ず会社の成長につながるはずです。
「やったほうがよいのはわかるけど、忙しすぎて時間がとれない」
「人手不足を解決したいけど、このやり方は遠回りじゃない?」
こんな風に感じた経営者の方、少なくありませんよね。日々の業務に追われ、なかなか腰を据えて取り組む時間が作れない。そんな悩みをお持ちの方こそ、当社にご相談ください。
当社では、皆様の状況に合わせた具体的なアドバイスと支援を提供します。「社員がやめない会社」づくりは、決して遠回りではありません。むしろ、長期的に見れば最短の道なのです。
一緒に、あなたの会社を「社員がやめない会社」に変えていきませんか? まずは気軽にお問い合わせください。
皆様の会社の未来を、共に描いていけることを楽しみにしています。